2006年10月24日

社会性を持った住宅

青年の主張みたいなタイトルになっちゃった。

今日は欧米の住文化と日本の住文化の違いを大雑把ながら語ってみたいと思います。

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先日のブログで書いたとおり日本は個性を重視し、欧米は社会性を重視します。


欧米では都市圏ではたとえ自分の土地であっても個人住宅など建てられないのがほとんどです。


建てられないどころか、壊せない歴史的建物も多く存在し、築200年のホテルなんてざらにありますし、中には300年、400年経ったホテルが現役で営業している現実もあります。


個人住宅は広い敷地のある郊外に建てるのが一般的です。
中にはうなぎの寝床のような土地に並べて建てる家もありますが、ごく限られた地域の話です。


日本では個人の土地は好き勝手に使ってかまいません。


東京都庁の向かいに個人住宅を建ててもいいですし、東京タワーの隣地に建ててもかまいません。
守らなければならない法律は「建築基準法」と「消防法」この2点です。
中には「地区計画」「風致地区」程度クリアーしなければならない問題もあるでしょうが、「個人住宅を建てて良い」ことには変わりません。


欧米ではありえない話です。


街並みを乱す建物を許さないルールがあるのです。


特に欧州では都市の「色」が決められている地域もあり、壁と屋根の色が統一されている街が珍しくありません。


街がきれいに見えるのはそのせいです。


日本は個性豊かといいますか・・・
雑然とした町並み。
ある外国人の手記を雑誌で見た記憶がありますが、「貧相で世界ナンバー2の金持ち国家には見えない」という評価をもらう程です。


例えば個性を追求するということはどういうことでしょう?


服に例えて見ましょう。
バブルころDCブランドがはやりましたね。


あの頃は自分の個性合わせて、ブランドを選んでいました。
時代の流行に乗りつつ、個性に合わせる。
そんなのが当たり前でした。


服と同様に住宅にも個性を求める人が多いのが日本です。


「人と同じものはイヤ!」


これを基本に持っている人も多いのではないでしょうか?


というか「自分は人とは違う」意識が強いというか・・・


まぁ、それはともかく、はやり物が好きなんですね、基本的に。


んでもって、住宅の形にも流行りすたりを作ってしまいました。


バブルの頃に建てられたモダン住宅を今の視点で見て、モダンに見えますか?


見えませんね。


古臭い「ちょっと前に流行った家」になっています。


流行に乗った個性的な住宅は20年を待たずして流行の終焉を迎え、次世代のスタイルに座を渡すのです。


このような家をたくさん建ててきたのが、今までの日本だったのです。


ある建替住宅の現場で、35年前の住宅雑誌を見つけたことがあります。


「ニューデザイン」とか「モダンスタイル」という見出しで出ていた住宅の写真がありましたが、笑えるなんてもんじゃなかったです。


いや、失礼。


そのくらい時代が変わるとデザインが変わるのが日本の住宅文化だということですね。


何を言いたいかわかりますか?


時代が変われば価値が変わるものを作っていて、社会性を持った住宅とはいえないということです。


デザインの面だけでも資産価値は落ちるでしょう。


古着屋さんでバブル時代のスーツが売りに出ていたとしても、喜んで買う人はいますか?


ほとんどいませんね。


この「ほとんど」が大切なのです。


なぜか?


ほとんどの人が時代を超えてほしがるものは資産価値が落ちません。


高級時計や大島紬、文化工芸品、宝石などは時代を超えて価値が変わらないものがたくさんあります。


いずれにしても時代を超えて愛される形が必要になります。


普遍的・・・ユニバーサルってやつです。


そんな普遍性を持った日本のデザインもあります。


そういう家を建てていけば、家が社会性を持ち、街が社会性を持ち、資産価値の下がらない住宅文化ができていくのです。


別に日本のデザインにこだわることもないでしょう。


スーツのデザインは250年もの歴史があります。


普遍性の代表格ですね。


今、スーツを見て「古いなぁ・・・」と感じる人はいないでしょう。


これが時代を超えて愛される形の条件を備えている証拠です。


そういう意味ではデザイン性に優れた輸入住宅も充分普遍性を持っているといえるでしょう。


普遍性=社会性というわけではありませんが、たくさんの人から愛される、たくさんの人から支持されるという面では共通点があります。


個人住宅とはいえ、あまりに個性に走ると資産的価値が下がるという事実。


感じていただくことができたでしょうか?


ネイティブインディアンやアポリジニのような「所有」という概念がなくなるまで執着を減らすことは難しいでしょうが。


20年経っても30年経っても、社会が資産価値を認めてくれる品質と美観を持った住宅に住みたいですよね。


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コメント

全~く同感です。
長く住み続けていける、あきのこない家が最高のデザインだと思います。

  • hiro
  • 2006年10月24日 17:59

農家ではPLANが地方ごとにほぼ固定しており,結果屋根の形もほぼ同じ。町家では道路に面する家の間口が決まれば,PLANが決まり,屋根の形はお隣と同じ。うだつが上がるか上がらないかが屋根の違うとところ。
でも,全くのうりふたつかというと,はっきり違う。町家では格子の間隔が微妙に違う。格子の長さも少し違う。化粧釘をよく見るとそれぞれデザインしてある。農家の屋根の棟の形がよく見ると違う。軒先がもっこり,ぴっちり,大黒柱の曲がり方が違う。かまどの曲線が個性がある。
個性とはこんなことかなあ,と,思います。
おしゃれな紳士はスーツのスラックスの下にはステテコをはきますよね。スーツが汗で光らないように。
こんなふうにさり気なく,わかる人にはわかるのが個性でしょうか。
家も,こうありたいです。

hiroさん
飽きの来ないデザインがいいですよね。
毎日食べるご飯みたいな存在。
言うは安しですが・・・

tatsuroさん
農家の話は知りませんでした。
昔は家を建てる時には近所の人同士手伝いあって建てた地域も多かったと聞いていますが、ほとんど同じ間取りであればお手伝いするもの同士、遣り方を心得ていたとも推察できますね。
おおっ!
もしそうだとしたら、とても社会性のある建物といえますね。
勝手に想像して関連付けしていますが・・・
アメリカの大成功者で「紺のスーツしか着ない」社長がいる話を思い出しました。
100着以上「紺のスーツ」ばかり。
これもある意味普遍性でしょうか?

いつも杉岡さんのお話を楽しく拝見いたしております。 私も先日同じような考えをもったビルダーさんに家を建てて頂きました。 
http://bauhouse.livedoor.biz/
シンプルで長持ちする家でこれからも生活していきたいです。これからもがんばってください!

  • chosan
  • 2006年10月25日 11:44

chosanさん
コメントありがとうございます。
当たり前のことなんですけどね。
商業ベースな建物が多すぎるので、そのようなビルダーさんと出会えたのはラッキーだといえますね。

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