2007年04月14日

その家何年持ちますか?

住宅の寿命ってどのくらいでしょう?

当然造り方によっても違うのだけれど。

建築費と家の寿命の関係はこれから家を建てる人にわかりやすくなっているでしょうか?

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経験で言わせてもらいますと、坪単価が高いからとか、実績がある会社だから、という理由は住宅の寿命とは無関係と思われます。


と言いますか、まったく関係ありません。


宮大工が建てても30年で土台が腐る設計もあれば、創業100年の老舗が建ててもやはり30年でダメになる家もあります。


住宅の寿命に関係するのは、技術や会社の知名度や信頼でもありません。
一言で言うと設計思想です。


部材と工法。
換気と冷暖房の考え方。
これらが設計思想によって決まります。


優れた設計による建物は、大工歴2年のアンちゃんが作ったとしても100年の耐久を容易にするでしょう。
反対に、どんなに手の優れた大工が請け負っても、設計が至らなければ30年持たずしてあちらこちらに不具合の発生する住宅になります。


優れた設計とそれを実現する職人のコラボレーションが理想的だということは言うまでもないでしょう。

住宅の設計に関しては大きく5つの要素があります。


ひとつはデザイン的な要素。
ひとつは実用的な要素。
ひとつは構造的な要素。
ひとつは省エネに関する要素。
そしてコスト的な要素。


これらの4つのバランスで設計は行われます。


何かひとつだけ特化しますと、他のバランスを壊します。


例えば省エネに特化すると、どうなるか検証してみましょう。
エネルギー効率を優先しますと、窓の熱損失が大きいために、大きな窓は設計に取り入れません。
家に入るときにバリアフリーが出来なくなる可能性もあります。
気密パッキンなどの熱損失を抑えるパーツは段差と開き戸を決定付けるため、引き戸が使えなくなります。
家の中もあまり明るくないかもしれません。
窓は壁の数十倍も熱を通しやすくするので、小さくすると同時に数も少なく抑えたいです。
熱を損失する要素を排除すると、そういう設計になっていきます。


デザインを優先するとどうなるでしょう?
構造的に望ましくないデザインになることもあるでしょう。
打ち合わせなんかしていますと「このデザインでどうやって強度出す?」みたいな会話が交わされることもあります。
デザインが良い省エネ住宅というのも、業界の中では聞いたことがありません。


実用面ばかり優先すると、デザインが貧しくなる可能性もありますし、構造ばかり考えても使いづらくカッコ悪い住宅になりかねません。

大事なのはバランスだと思うんです。

ここからがいよいよ本題です。

このバランスが悪くてもお客さんにバレづらいのは何だと思いますか?
私は構造的なものが一番お客さんにはわからないと思います。


デザインは見ればわかりますよね。
実用的なのも住めばわかりますし、省エネも光熱費の請求書で確認できます。


じゃあ構造は?


これが実にわかりづらいんですね。


お客さんにわかりづらい。
言い換えると。
ここが手を抜くポイントだとも言えるし、法的な最低限を満たしておけば、必要以上を求められることも無い聖域ともいえます。


ですから。


安くするためには、構造的な部分を犠牲にするのが一番効率が良いのです。


デザインが良くて住みやすそうなプランが建設会社にしてみれば一番売りやすいんですね。
キッチンやインテリアのデザインに目を引かれてしまえば、心配なのは支払いだけとなってしまう人も多いですよね。


住みやすいプランは時間をかけて打ち合わせすればおのずと決まってくるものです。


じゃあ構造は?


大した興味も無いかもしれないし、「建築確認申請はちゃんと通りますから」って説明で済んじゃうことが多いのではないでしょうか?
「保証もつけて売っているんだから大丈夫だろう」と思う人もいるでしょう。

でも、これらは何の理由にもなっておりません。
冒頭触れたとおり、30年で腐る家かも知れないんですよ。
ちゃんと調べておきたいですよね。

実は省エネを極めますと、副作用があります。
建物の長寿命化が期待できるようになります。

なぜか?

それは、気密性を高めると同時に、構造内での結露を予防できる構造になるために、冷暖房による壁内結露を避けることができるようになるからなんです。

ですから、今の子育て世代。
30代の人たちが住宅の購入を考えた時に、一生その家に住みたいという希望を持つのでしたら、優先するべき要素は耐久性でしょう。


デザインや広さにこだわって、構造に対する配慮が足りなければ、一生住むことが適わないかもしれませんよ。
そんなことを想定して建設会社選びをしているお客さんが果たしてどれくらいいるでしょうか?
とても大切なことなのに、意外と重要視されていない現状を憂慮せずにはいられません。


構造に耐久性を持たせる発想と言うのに必要なのが設計思想です。
哲学といっても良いかもしれない。


リフォームを多く手掛けている建設会社の人はわかると思いますよ。
壁をはがして真っ黒に変色している柱を見ていますから。


営業マンが「100年くらい持ちますよ」と説明して販売している大手の建物の窓まわりの木が腐っているのを直接目にしていることもあるでしょう。


私はどちらも経験しています。
建物が腐っている現場をいくつも見てきているんです。

設計の4つの要素については先程触れました。

その中の「構造」

さらに「構造」は耐震性、耐久性に分けることができます。


耐震性は計算ではじき出すことができるんです。
数値によって効果を想定できるんですね。


しかし。


耐久性。


これがとても厄介。
なぜかというと、数値で測れない類の物です。


木造住宅を30年でダメにするのも。
100年以上持たせるのも。
この耐久性における設計の思想によるを私は考えています。


先日のブログで「乾燥していれば耐久する」と書きました。
どの会社でも土台周りが乾燥する理屈を並べています。
でも理屈どおりに現実もなっているかどうかは怪しいと思っています。


なぜかというと、暖房などの温度差と気密の関係を関連付けていません。


冬期間、暖房を使うと外気との間に温度差が生じます。
温度差により、外気は隙間から室内空間に侵入しようとします。
理科で習いましたね。
冷たいところから暖かいところに空気が流れるんですね。


さて、気密試験を行わない住宅を造っている建設会社。
そういう会社の建物が全てそうだとは言いませんが、構造内で温度差による結露が発生する可能性があるんです。
これは目に見える大きな力ではありません。
どちらかというと目立ちませんし、無限小の現象です。
しかし、間違いなく構造を蝕んでいく無限小の力になります。


ほとんど隙間が無ければそんな心配要りませんよ。
耐震強度は満たしていても、そういう無限小の負荷がかかり続ける構造では望ましいとはいえません。


もしもあなたが今後50年、その家に住みたいと願っているのであれば。
そのようなマイナスの無限小の負荷が連続して作用する住宅は避けたほうが良いと思います。


新築時にその対応をするために、150万円オプションがかかっても良いから、それは対策をしておいた方が良いです。


30年以上の住宅ローンを考えているのでしたら、そのくらいは考慮しておきましょうよ。
ローンを払い終わったら建替えするつもりでしたら別ですけど。


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