2008年02月23日
契約トラブル その拾四 契約解除
タカシはナカタに電話した。
先日の条件について回答したいと伝えた。
ナカタは電話の当日夜に来る事になった。
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タカシ「早速ですが、先日の回答をさせていただきたいと思います」
ナカタ「はい。お聞かせ下さい」
(どうせ追加を認めないんだろう?)
ナカタはタカをくくっていた。
こちらもその腹づもりで来ているし、社内的な根回しも半分終わっている。
早いところ終わらせたいなぁ、と思っているナカタは手打ちの瞬間を待ち望んだ。
タ「こちらの希望は御社との解約です」
!!
ナ「えっ!?解約ですか?なぜそんな急に」
タ「よくよく考えたのですが、本当に予算をそこまでかけることができないんです。
予算もないくせにと思われるかもしれませんが、自分たちは納得できない建物を予算の上限を支払ってまで購入したいと思っていません。
その上、仮に追加の請求をしないで希望を取り入れていただいたとしても、それは御社が赤字になると言われていましたので、契約を解除するのがお互いに良い方向だと思ったのです」
ナ「そのようにお考えになったんですね」
タ「はい、夫婦でよく話し合って決めましたので、解約させてください」
ナ「そうですか。この場合お客様の都合で解約することになりますから、契約金額の2割を当社に納めていただかなければなりませんが、よろしいですか?」
タ「いえ、契約金は全額返金してもらいます。御社の契約までの説明が不十分で私たちは希望と違った建物を購入するところだったのです。契約の取り方に問題があったためです」
ナ「私どもとしてはそのような認識はありません。契約解除となりますと会社とお客様の契約ですから、私の一存で、この場で回答できません」
タ「はい、回答は後日でもいいですが、いずれにしても解約することがお互いにとって良い選択だと思います。話を白紙に戻していただくことがこちらの希望です」
ナ「そうですか。今さらなんですが、会社としては先日の話の結果、お客様の希望を全部聞こうという方向で話がまとまっていたので、追加が払えないと言うことであればそれでも請け負って責任を持とう、という結論が出ていたんです。もう一度考え直していただけませんか?」
タ「赤字工事をしていただきたいと思ってはいないんです。それはできないから少しでも払ってもらえないかと言うお話でしたよね。
それでいくらなら私たちにお金が出せるのか答えを聞かせて欲しい、という内容でした。
そうですよね」
ナ「その通りです」
タ「うちとしては無理はしたくないのです。もちろん、うちの家に関わることで無理をされることも望んでいません。契約までにお互いに過失があったのは間違い有りませんので、今回の契約を解除することで最初から考え直したいのです」
ナカタは困っていた。
向こうの方が正論だ。
駆け引きが裏目に出てしまった。
タカをくくっていた打算が外れてしまったのだ。
多少利益が減っても1棟取るのと、解約になるのでは全然話が違う。
いきなり解約の提案をされるなんて考えていなかったのだ。
(これじゃ俺の思惑と全然ちがうじゃないか・・・)
ナ「ご希望はわかりました。先ほど話しましたとおり、会社としてどのような対応をさせていただくか考えなければなりません。一度帰ってからお答えしたいと思います」
タ「対応を考えると言うとどういうことですか?」
ナ「解約したいと言われましてもすぐに、はいそうですか、と言うわけには行きません。今までかかった業務経費もありますし、そのような精算をしなければなりません」
タ「そんな話は聞いていませんよ」
ナ「契約書の約款に書いてあります。お読みになっていませんでしたか?」
タ「ウエダさんからはトラブルになった時の処理方法の約束だから、トラブルなんか起こしませんから読まなくてもいいでしょう、とすぐに契約書にサインしましたので・・・そういうことが書いてあったんですか?」
ナカタは傷口がさらに広がってしまった感じがした。
(あのバカ!契約の時に約款くらいちゃんと読み上げろ!)
内心思ったところでどうにもならない。
タ「こういうところが今さら出てくるところも、契約の取り方に問題があったと言えますよね」
ナ「本当に申し訳ありません」
タ「質問したいのですが」
ナ「どうぞ」
タ「契約の取り方に問題はなかったと思いますか?」
ナ「その質問に答えるには事実確認をきちんとしなければなりません。持ち帰らせてください」
タ「では、会社として契約の取り方に問題があったかどうかも含めてご回答下さい」
ナ「わかりました。できるだけ早く回答します」
タ「よろしくお願いします」
ナカタは帰って行った。
ヒロミ「すぐにこっちの都合での解約だから解除金払えとか言っていたね」
タ「あの会社の体質なんだよ。こんなことがなければわからなかったよな」
ヒ「ほんとよね」
タ「こわいな。ああいう会社と契約していたなんて気付かなかったもんだ」
ヒ「ウエダさんと話していても、全然想像できない」
タ「トラブルは少ないんだろうけど、僕達のほかにも絶対いるよな、こういうやり方だったらさ」
ヒ「私もそう思う」
タ「こわいね」
ヒ「うん、こわい」
ナカタはしくじったと思っていた。
客がこんなに強気に出るとは思わなかった。
誰かの入れ知恵があったことを感じた。
本人たちだけの結論で、こちらの過失を指摘するにはできすぎている、というか落ち着きすぎている。
どこのどいつが入れ知恵なんかしやがったんだ?
考えたところで答えなんかでない。
支店長から嫌味を言われることが、さらに気を重くさせた。
俺様に任せておけ、と言わんばかりに出てきて、持って帰ってきたのが解約の希望・・・
ナカタの心中は荒れていた。
ウエダとシモヤマの責任にできるところを探していた。
いくつかの指摘できる落ち度を見つけたところで、シナリオを想像した。
全て部下の責任になるシナリオであることは間違いない。
少しずつ自己正当化ができてきて、ナカタは落ち着きを取り戻してきた。
そうだよな。
俺は悪くない。
そうだよ。部長の仕事なんてこんなもんだよ。
ナカタの思考には「お客様に対して申し訳ない」というものは含まれていなかった・・・
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- at 11:20
コメント
生々しいやり取りです・・・
現実にこんな感じのトラブルは皆さんが想像している以上に多いのではないでしょうか?
と私は思います。