2008年05月15日
選択 Ⅱ
「あなたの役に立ちたい」
そう言った男の顔を見た。
どこにでもいそうで、どこかで見たかもしれない顔。
平凡な容姿の男は確かにそう言った。
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「突然そんなこと言われても困るなぁ。あなたは誰なんですか?」
「私が誰かという質問に答えることはできません。しかし、信用してくれたらあなたの役に立てます」
(笑うセールスマンじゃあるまいし、一体この人は何なんだ?)
いきなり話しかけられて混乱した頭も、落ち着いて考えられるようになってきた。
「何が何だか良くわからないんだけど、どういうふうに僕の役に立ってくれるんですか?」
「私はあなたに本当のことを教えることができます」
「お金を出してくれるわけじゃないのね」
「私がお金を出さなくても、本当のことを理解できれば、お金なんかいくらでも自由になりますよ」
「本当のことってなんのことだい?」
「本当のことは、本当のことですよ。あなたの知りたい全てでもあるし、知らない全てでもある」
(???なんだなんだ、新手の宗教の勧誘か?)
「それがボクにとってどんな風に役に立つっていうんだい?」
「本当のことがわかれば、お金も幸せも自由になる。
でも、本当のことを知るためには勇気と忍耐が必要なんですよ」
「勇気と忍耐でお金も幸せも自由になるって言うのかい?」
「いや、それは違う。本当のことを知るために勇気と忍耐が必要だと言っているのです」
「それがどうしたっっていうの?だから何なの?」
「あなたは好ましくない状態で苦しんでいるのではないですか?」
「どこでどう知ったのか知らないけど、その通りだ。馬鹿にしに来たのか!?」
「そんなことはしない。あなたの幸せの為に役に立ちたい」
「そうかい。わかった。じゃあ、僕を幸せにしてくれ。お金の不安のない生活をくれ」
「それはできない。それはあなた自身の行動によってもたらされるものだ。努力が要る」
「努力?そんなことは知っている。そんなことで成功できるなんて限らないんだよ」
「あなたは原因と結果について知らないから苦しんでいる」
「原因と結果?」
「本当のことを知る上で、どうしても必要な最低知識です。原因と結果が一対になっている」
「僕がうまくいっていないことには原因があるっていうのかい?」
「二度と、同じように苦しみたくないのであれば、そう考えることができれば解決が早い」
(なんだ?禅問答の次はお説教か?)
「あんたは一体誰なんだ?」
「それに答えることはできないけれど、あなたのことは生まれたときから知っています」
そんな風に言われても不思議と気味悪くならない。
なんとも不思議な男だ。
初対面なのか、昔から知っているのかもわからないが、妙に心になじむ話し方をしてくる。
抵抗なく、するすると心の中に言葉が滑り込んでくる感じだ。
いきなりのことなのに、こんな言葉のやり取りがとても自然だ。
「本当のことって、いったい何のことなんですか?」
思いついた質問は、それが精一杯だった。
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- by
- at 22:42
コメント
実話じゃないかと思わせる良い切り口じゃないですか・・・
とことん掘り下げて気付きを促してあげてください。。
どうなるのでしょう~
あなたの知らない世界かもしれませんね。
どうなるのか私にもわかりません。