2009年02月27日
本を過信しないでね
家づくりに関しては数え切れないほどの本が出版されている。
多くは建設会社から依頼を受けたライターが書いた「バイブル商法」と呼ばれる広告本だ。
それが悪いとは言わない。
だけど、あまりにもチンプンカンプンなことが書かれているものもある。
多く見られるのは「良い家」の押し付け。
その会社の社長が「好きな家」を「良い家」として売り込んでいる。
「良い家」と感じるから好きになるのだろうけど。
経験上のひとつの結論と言う受け止め方で観察する必要がある。
もちろん私にも「好きな家」があるし、「良い家」だなぁ、と感じる。
しかし、住む人に合っているかどうか、と言う視点で検討した場合、必ずしも全ての人に合うとは言い切れない。
住む人の個性に合わせた設計と、建設会社の好みは一致することの方が少ない。
視点を変えて説明すると、建設会社の「好きな家」を見て「好きだなぁ、こういう家」と感じた人がお客さんになる。
お客さんも建設会社も「良い家だね」と共感する。
それはどの会社においてもいえることで、良い家だから住みたいと感じるよりも、好きな家だから良い家だと思える、と言った方が正確だ。
そういうお客さんに自社の建物を見つけてもらうために出版する。
住宅に関してはそういう本が多い。
これが言いたかったのだ。
自分にも同じことが言えるのだが、経験したことしかわからない。
勉強すれば知ることはできるが、理解しているとはいえない。
経験から得られることが何よりも自信につながるし、説明も真実味を帯びる。
本に書かれていることは「真実味」がある。
それは著者が少なくとも経験に基づいた価値観を持っているから。
では、経験が豊富な人には適わない、ということになる。
建設の世界はあまりにも広く、深い。
断言できるが全てを経験している人などいない。
在来工法の経験ばかりで、パネル住宅や鉄骨についてはまったく経験のない人でも「木造が良い」と断言している人がたくさんいて本を書いている。
これがわからない。
鉄骨をやっていた人が、木造もやっていて、比べてた結果木造の方がやっぱりいいね、というのならわかる。
しかし、多くの本は自分のやってきたことの正当化であることが多い。
客観的な比較、具体的な検証、どのようにしてお客様の個性に合った提案をするのに有効か、などがわかりづらい本が多い。
仕事柄どうしても読んでしまうのですが、ガッカリしてしまう本がとても多いといえます。
シックハウスについては特にひどい本が多い。
天然素材、自然素材を使えば大丈夫と言い切っている会社もある。
免疫力が極端に弱くなっている人は、それでは不十分なことが多い。
地磁気や電磁波の影響にも反応してしまうため、その人の体力、免疫の特性まで見極めて環境を作らなければならないのに、そうした所見まで踏み込んで解説している本はほとんどない。
かえって悪くなってしまう可能性の高い解説をしている本さえある。
かなり深刻なシックハウス症候群にかかってしまった人のサポートなどそうそう件数ができるものではない。
非常に時間とエネルギーを要するため、もしも専門的に対応するなら、新築で年間5棟程度が限度と思われる。
4年間やっても20棟。
20棟の経験で「このやり方が良い。これが免疫的にも良い家」と言われても・・・
ひとつの経験談として「こういうやり方もあるよ」程度にするとインパクトがないからなのか。
さもさも「完成した」「確立した」かのような主張をしている。
参考にしてもらいたい実例を紹介したい。
ある会社の依頼で出版された本。
商品の有効性について、非常に細かく解説。
それを見た消費者が商品を購入したが、その後大クレームに発展。
表現には違法性がなかった。
販売方法にも違法性がなかった。
ところが会社の依頼で出版したということで違法性が生じた。
裁判所の審判は会社の有罪。
このブログを読んでいる人の中で、どれだけこの話を知っている人がいるかはわかりません。
しかし、非常に重要なポイントが含まれています。
出版物の内容の違法性についてまで、出版社が全てチェックして出版しているわけではありません。
薬事法、医療法としての表現や、比較広告などの禁止事項についても、完璧なチェックがされているわけではないのです。
だから読む人が適正な情報なのか、違法性のない表現なのかを判断しなければならない。
情報の受け取り方の問題もある、ということが見えてきます。
ある意味、このブログ記事も同じこと。
私個人の経験で書いていますが、ひょっとしたら違法行為が含まれているかもしれません。
充分に気をつけていますが、ケチをつけようと思ったらいくらでもケチをつけられるでしょうね。
出版物はあくまでも参考に。
あなたにとって有益な情報とそうでない情報が含まれています。
法的に完全に問題がないとも言い切れません。
「住宅関係の本」とはそういうものだと思って読むといいです。
「良い家」系の本もいいですが、オススメの本は「住宅営業マン向けの本」です。
彼らがいかに本質的なことに触れずに、購入を決断させるかのトリックを見極めてください。
欲しいまま、思い通りの購入と言うのがどれほど危険かは旧ブログの中の記事を見つけてください。
いかに欲求を起させて、購入までのベルトコンベアに乗せるか、というあの手この手の手法と理論が書かれています。
心理学を悪用しているものを見つけると、本当に腐った業界だな、と感じることがありますがわかっていてもついつい読んでしまいます。
ちょっと横道にそれますが、当社のライフプランを依頼している認定のファイナンシャルプランナー。
実は住宅営業マン時代にオーバーローンで入居者が離散した経験を持っています。
それがきっかけで「ちゃんとした人生計画で幸せな家づくりを」ということで住宅購入専門のファイナンシャルシャルプランナーとして年間100件以上のプランを作っています。
その方がある大手不動産チェーンに「お客さんの将来を考えた提案としていかがですか?」と提案した時に先方からの回答をご紹介して終わります。
「売れるか売れないかに関係ないのでうちでは採用しません」
・・・・・・
営業をたくさん雇っている会社はここに一番関心があるんです。
もちろん、全ての担当者がそうではないけれど。
会社の中心がそういう考え方ならば、雇われている人間はその考え方に従わなければなりません。
その会社が何を考えて売っているのか。
表面的な情報や、出版されている本で判断できなければお手伝いします。
- by
- at 14:30
コメント