2009年02月06日

世界に誇る伝統工法

日本の伝統的な木造建築は世界に誇る文化財としても通用する品質です。

木と土のみでつくり、1000年以上耐久する建築物を造る技術を持っていました。

持っていた、とは過去の表現。

今は失われています。

それを復活させようと努力している人たちもいます。


東大寺の大仏殿や、法隆寺の五重塔などは有名ですよね。
現代の建築学では建築不能と言われています。
なんとか大学の建築工学科出身のお歴々が集まっても同じことができない、というのです。
終いには200年以上改修していなかった屋根の補修を2億円もかけて直したのに、わずか3年足らずで直したところが腐り始めたなどという失態も演じています。


こういうコアな情報は一般の人の耳に入らないため、日本の建築レベルが高いと思い込んでいる人が多いですよね。
確かに一部の設計力、施工力は他国から依頼が来るほど優秀です。
トンネル、橋梁、ダム建設などは最たるもので、非常に高い評価をもらっています。
反面住宅に関しては、日本から海外に渡った技術や思想はほとんどありません。
他国の専門家からは研究の対象になっていますが、「貧しい住宅」と言う評価がほとんど。
経済的な意味ではなく、ソフト面のことです。
機能性とか、デザイン性などに普遍的な要素が乏しいのです。


時代が変わればすぐに飽きられてしまう。
50年後、100年後も通用する思想で設計されていない。
新築時のオーナーの欲求を満足させるだけで、将来的には街並みの美観さえも破壊するような建物が乱立しています。
これはアジア各国で起きている現象ですから、東洋の思想に何か原因があるのかもしれません。


数奇屋造りや、かやぶき民家の群落などは、外国から住文化の研究で見学が絶えません。
それらの文化は継承者がいないため、同じものを建てるのが困難になってきています。
表面的な真似事はできても、建物を腐朽させない原理というものを理解していないためです。


すぐに防腐剤を使い、金物を使って固定する。
面強度とかねじれ特性などで高い数値が得られることが評価の対象になっています。


伝統工法が土を練り、木組みで作られているのとは対称的です。
例えば、かわらぶきの屋根。
現代では釘で固定しないと建築の許可が下りません。
しかし、伝統工法では土を接着剤にしてふいていました。
貫工法は地震時には構造が揺れることで地震のエネルギーを吸収する構造です。
揺れて歪みますが倒壊しない。
中途半端に古い建物で、釘で固定したかわらぶきの屋根は過去の大地震で倒壊しています。
土で瓦をふいている屋根は、瓦を手放し自らの倒壊をふせいでいます。


しかも伝統工法は束柱を束石に乗せるだけ。
固定しません。
現代の建築基準ではそれを認めていません。
必ず金物で固定しなければ検査を通りません。


釘で締め付けた瓦屋根。
基礎に金物で固定された土台。


例え話で表現します。
甲冑の兜を頭に縛り付けて、足を縄で地面に縛り付けられた上体で横から押されるのを想像してください。


耐えられませんね。
すぐにこけてしまいます。


伝統工法は、押された時にすぐに兜が脱げるようになっています。
そして、足は縛られていません。
横から押されても足をずらしてふんばりが効きます。
バランスを崩す原因となる兜は、負荷がかかりすぎると落ちることで負担を減らします。
だから倒壊しづらい。
免震構造を備えた住宅文化が存在したのです。


瓦は確かに落ちますが、逆に建物の中に逃げ込めば倒壊することが少ない。
瓦は垂直荷重で60キログラムの負荷にまでは耐えます。
しかし、その土を作る技術を持っている人は、私の知る限りでは日本でただ1人です。
もう絶滅寸前です。


建築に携わる者は法律を守る義務があります。
しかし、同時に伝統的な文化を残す義務もあるのではないでしょうか?
外国からオーガニックな住宅の研究をしている人が日本の伝統住宅、建築物を見学すると口を揃えて絶賛します。
環境との調和と言う意味ではパーフェクトだと驚くのです。
その伝統工法の思想を受け継ぐ人が本当に数が少なくなっています。


個人的にはこれらの思想について「呼吸大学」という団体で教えていただきました。
宮本学長という「バガボンド」がいます。
人間の素、本質ということについては比類ない感性で感じとります。
自然観察から幾多の発見をする中で、伝統工法に生きる先人の知恵を発見し、後世に残す活動をしています。
階段もついていない10階建ての最上階の窓から顔を出し、「ここから見ればわかるだろう」みたいな発言が多いので、一般の人からは理解されづらい人ですが・・・


土作りを通して、自然を観察。
土に関わる仕事を通して、先人の残した文化の優れた面を看破。
環境哲学も、人間としての生き方も立派です。
残念ながら、あまりにも達観しているために、何かの答えを求めている人が出会うと感じる「本物」の雰囲気はありますが、不勉強で欠点の多いことを自覚している人が出会うと気後れしてしまうのが惜しい。
人の健康と、維持可能な社会の復活、と言う意味では大きな理想と情熱をもっていらっしゃいます。
上下関係をつくることを好まず、人と人の当たり前の交流ができる関係を好まれます。


呼吸大学といいますので、もし興味がありましたらホームページをのぞいてみてください。
当社の設計思想もかなりインスパイアされています。
集中加湿システムは出会う前に発見した仕組みですが、思想的には共通点が多く、結果としてコンプライアンス対策された伝統工法の長所とも呼べるシステムだといえます。

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