2009年11月29日

職人アレコレ

「うちは宮大工もできる腕の良い職人を使っているから」

そんな自慢をする建設業者もあるようです。

先日のセミナーで裏話のリクエストが随分ありまして。

さし障りのない範囲でこういうトークの裏側を覗いてみたいと思います。

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宮大工をやっている人がなんで戸建の住宅なんか作っているの?

これが第一の疑問です。

「仕事が少ないから」

そういう点もあるかもしれません。

間違いなく言えることは、そういう職人さんは大手ハウスメーカーの下請けはしていませんね。

なにせ手間賃が安すぎまして、腕の良い職人を雇う経費がでません。

ある本州企業の北海道進出の際の、業者説明会の実話を例にしましょう。

「うちはダイク(数字の九の意)はいりません。ダイロクでできる構造ですから」

要するに大工と呼ばれるにふさわしい技術なんか持っていなくても良い。

半人前でもできる仕事だから安い人間を揃えておいてくれ、というのです。

ある意味、工業化住宅でそういう構造なのかもしれませんけれど。

コマーシャル効果で知名度が高い割には、そういう内情が消費者本位ではありません。

ということで、腕に自信のある職人さんを雇えるような手間賃がでませんから。

宮大工もやっていたような人は現場で望むべくもない、ということになります。


宮大工って言うと腕が良いイメージを持つ人が多いのですが、現実そんなに簡単に判断はできません。


彼らは現場で木を加工する技術には長けています。

和室の造作なども伝統的な収まりを再現できたりします。

確かにそういう点は素晴らしい。

反面、近年はやりの高気密高断熱はどうかというと、とんと興味を持たない。

「気密工事なんて大工のやる仕事じゃねぇ」

はばかることなく毒まきます。


おわかりでしょうが、こういう職人さんにエコ住宅は作れません。

なんせ、木の扱いが命ですから、隙間がどうとか、断熱がどうとか。

そういう視点で仕事の話ができません。

だから、長期優良住宅を推進しつつ、「うちは宮大工を使っているよ」という会社があったとしたら。

内容は慎重に確認する必要があるでしょう。

まぁ、頭が柔らかくて、腕もありつつ、最近の住宅事情に合わせた技術の習得にも取り組んでいる人も中にはいるでしょう。

私がまだあったことがないだけで、きっとどこかにいると思います。

多分・・・

いるのかな・・・?


まぁ、断定はできませんが、レッドアニマルくらい貴重な人材です。


宮大工さんに注意しなければならない点はもう一つあります。

それはお客さんの声に耳を傾けるのが苦手な人が多い。

寺も神社も多少間違えても文句は言われません。

そこそこの仕上げになっていれば、神様も仏様も文句を言いません。

しかし、戸建の個人住宅は、わずかなイメージのギャップでもクレームになることがあります。

消費者の視点は厳しいです。

神も仏も「愛」と「慈愛」の象徴。

許しの根源ですから、寺の工事とか神社の工事でのクレームはまず聞きません。

しかし、生涯縛られる住宅ローンを決死の思いで決めた消費者はある意味見る目が厳しい。

「愛」よりも「約束」を求められます。

京都の寺や社殿を手掛けるような職人さんなら、様式美にのっとった技術を納めている人も多いかもしれませんけれど。

北海道辺りでは多少宮関係の仕事をしたと言っても、キャリア的には乏しい人が多いのが現実。

宮大工かどうかよりも、戸建のキャリアを気にした方が、個人住宅に生かしてもらえる技術を持っていそうな感じがします。


イメージが良いからと言って早合点せずに、チェックポイントはしっかり押さえましょう。

目的に合った技術をもっているかどうかが大事なのです。

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