2011年07月18日

設計と見積もりの関係

設計と見積もりの関係、と聞いて何を連想するでしょう?

建築業界において、設計者と現場側の関係は必ずしも良い物ではありませんでした。

意外に思うかもしれませんが・・・

少々、そのあたりを語りたいと思います。

設計とデザインは違います。

デザインがうまくても設計になっていないこともあります。

イヤイヤ、本当にそういうことがあります。

そういう図面を見る機会が多いといえます。


設計者に求められる要件はいくつかあります。

現場を知っていること。

積算ができること。

職人に指示できること。

最低でもこれらは必要な要素でしょう。

ところが、これらの要素を満たさない有資格者が業界内にどれだけ多いことか・・・

机の上で図面を相手に仕事ばかりしていると、そういうことができなくなってしまう。

そんな局面に立ち会うことがたびたびあります。


「現場も知らんくせに」

設計者が現場からこんな文句を言われることは珍しくありません。

一応、給料はもらっているんですけど、現場を知らずに設計している人は意外と多いです。


以前勤めていたハウスメーカーでは、現場に一度も足を運ばずに設計するのは珍しくありませんでした。

理由は「忙しいから」

写真と構図、地籍測量図だけでプランを作ってしまう。

実際には高低差や隣家の窓の配置。

周辺のロケーションをどのように生かすか、などのその土地の活かし方を情報として盛り込まなければいけないのですが、それを許さない会社の圧力があったのも事実。

そういう図面を書いて現場に「作ってくれ」ということになってしまいます。


さて、本題に戻しましょう。


工事の内容、進め方、工程管理や協力業者への受発注。

これらを工事管理と言いますが、これを苦手とする設計者もいます。

本当はこれらのことを知っていないとちゃんとした設計にならないのですが。

どこにどういう資材を置いて、ここの工事を収めながら工程に穴を開けない。

そんな風に頭の中で組み立てながら設計をしていくと、ロスのない積算ができるようになります。

そういうことができない設計者が積算をして現場に対して「これでできるはずだ」と説明すると「これはできないよ。だって・・・」みたいな話になります。

社内であれば調整しやすいのですが、設計事務所が工務店に外注する場合にはそうはいきません。

どうかすると工務店が潰されたり、設計事務所が訴えられたりします。

設計事務所の廃業理由として「訴訟」が上位にあるのを知っているユーザーさんは少ないと思いますが。

現場を知らない設計事務所も少なくありません。

そういう設計事務所が現場を取り仕切ると、とんでもないトラブルになることも。

こうなると積算ができないどころの騒ぎではなくなってしまいます。


現場上がりの設計者は貴重な存在です。

設計事務所を開いている人もいますが、残念ながらごくわずかです。

デザイン系の設計士は、「現場上がりの設計士の仕事を夢がない」と酷評することがありますが、同時に現場上がりの設計士は「連中は建築を知らない」と返す関係にもなっています。

どちらの意見が正しいのかは別として、住んでもらうオーナーさんが納得できる家づくりをするためには、現場を知り、正しい積算ができる設計士が関係していることが大事になるのは間違いありません。


こういうテーマって見極めが難しいんですよね。

「あなたは現場を知っている設計士ですか?」と質問しても必ず「そうだ」と答えてきますから。

現場を知っているといくつか質問すると化けの皮を剥がすことができるのですが。


現場を知らないと正しい見積もりはできません。

これだけは間違いありません。

そういう人に仕事を頼めるオーナーさんはラッキーだな、と感じます。

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